自作の電工ナイフってどうなん?
今日のネタは、いつもと違ったネタです。
こないだお邪魔した工場にて、電工ナイフの作り方を教わったので、その工程を記録がてら更新していきます。
このブログを見てくださったことがある方は、「電気屋さんだったの?」、と思うかもしれませんね。
そうですっ・・・わたすぃが変な・・・
ではなく、町の普通の電気屋さんです(笑)
と言っても、ちょっとジャンルが違うので、実際には皆様のお宅にお邪魔することはないでしょう。
正確には、電気工事の分野ではなく、電気関連です、とだけ言っておきます。
これからは、電気関連のネタも更新していこうと思うので、是非ともよろしくお願いします。
ちなみにですが、独立を考えているのは、電気関連の会社を立ち上げて独立することです。
現在準備中ですが、独立が完了したらまたそれに関する記事も更新したいと思います。
それでは今回の本題に入っていきます。
電工ナイフって?
まずは電工ナイフについて簡単に説明します。
電工ナイフには大きく分けて二つの種類があり、ビニル電線用と、外装電線用です。
特に造船所ではほとんどが外装電線を使用するため、普通の電工ナイフだと切れ味に不安が残ります。
逆に、それ以外ではほとんどがビニル電線を使うため、市販されているナイフでも十分です。
まあこのあたりの話は、私よりも見てくれている皆様の方が詳しいと思うので、違ってたら心の中で訂正しておいてください。
ということで、今回は造船所で活躍するであろう、電工ナイフ、の作り方を解説していきます。
私の聞いた話だと、外装電線用のナイフは市販されているものではあまりいい商品がないと聞きました。
だから、みんな手作りしているんですね。
よく見かけるのは、↑このナイフとかですかね。
値段も安いし、これで切れるならわざわざ作る必要はないと思います。
造船所で大活躍の電工ナイフ
ちょっと画像ではわかりにくいかもしれませんが、今回の私の自信作?です(笑)
柄?鞘?というのは今回は作っていないのですが、左にある穴が、ナイフと柄を固定するためのビス穴です。
それでは詳細を・・・
必要な物
まずはざっくりと必要な物を書いていきます。
- ナイフの素材
- 研磨用のグラインダー
- 穴あけ用の機械(ガス、アークの方が早いらしいです)
これだけあれば、刃は作れます。
柄に関しては今回は作ってないので割愛します。
そして、安全に作業するためにも、安全保護具の着装も忘れずに・・・
- 保護メガネ
- 防刃手袋
- 防塵マスク
これで完璧です。
素材選び
今回使用したのは、ハイスピードスチール、と言われる素材です。
ハイス鋼、とか、高速度鋼、とも言われます。
この素材の特徴としては、とにかく硬く、切れ味が持続するという所。
それだけに、熟練の職人さんはみんな自作したオリジナルのナイフを持っていました。
やはり、いい仕事をするには、いいナイフが必要みたいですね。
で、この素材なのですが、残念なことにホームセンターなどには売っていません・・・
ネタ用に買ってみようかと思ったのですが、泣く泣く諦めました。
昔の職人さんは、機械用ノコギリ?の刃として売っていたのを削り出して加工していたみたいですが、最近はあまり活躍の場がなく、刃も見かけなくなったみたいです。
見た目はこんな感じの、替え刃、を削り出してナイフにしていたみたいです。
ちなみに、上記の商品は違うので、間違えて購入しないように・・・
あと、同じような替え刃で、バイメタル・ハイス鋼、のような商品があるのですが、こちらはバイメタルとの名前の通り、刃先がハイス鋼で、刀身が鋼になっている物がほとんどです。
そういった商品も、刃先は使えないので、間違えないように気を付けてください。
じゃあ作れないの?なんて声が聞こえてきますが、そんな事はありません。
世の中便利なもので、ネットで探せばいくらでも出てきます。
参考までに・・・
こういった、素材単体での販売もあります。
ちなみに、こちらの商品は、厚さが3ミリとなっていますが、私は2ミリで作成しました。
また、幅が40ミリになっていますが、私は確か30ミリで作りました。
長さは、確か160ミリ以下でないといけないので、そのぐらいですかね。
大きいものは削ればいいので、出来れば大きめの物を選んでおきましょう。
他にも色々あるので、ネットでのショッピングサイトにて色々探してみてください。
厚さは2ミリぐらいのが削りやすいので、最初から2ミリの物を買った方が早いと思います。
鉄・鋼・ステンレスはダメなの?
豆知識として・・・
まず普通の鉄ですが、これは硬度が足りないため、ナイフらしい物は作れますが、切れ味も切れ味の持続性もダメで、ナイフとしては使い物になりません。
次に、鉄よりも硬い鋼ですが、こちらも、外装電線、を相手にしていると、すぐに切れ味が劣化します。
ただし、一時の切れ味だけなら、ナイフとしても通用します。
最後にステンレス。
ハイス鋼に近い硬度を持っていますが、なんか違うんだよな~、と職人さんはおっしゃっていました。
切れ味や、持続性は、やはりハイス鋼の方がいいみたいです。
by Sじいより・・・
※ステンレスについて追記※
自分なりに調べてみたのですが、ステンレスという素材は、売っている素材によって硬度の違いが大きいみたいです。
柔らかいステンレスもあれば、硬いステンレスもあるみたいなので、硬い物であれば素材として成り立つ可能性もあります。
削り出しの方法
問題はここからです。
素材を買うまでは誰でも出来ます。
しかし、素材からナイフにするまではなかなか難しいです。
しかも、素材が硬いため、めちゃくちゃ時間がかかりました。
ちなみにですが、使ったグラインダーの刃には、鉄工作用、と書いてありました・・・(汗)
もしかしたら、グラインダーの刃が弱かったのかもしれませんね・・・
削れない事はないので、根気よく行ける方は鉄用でもOKです。
ちなみに、使ったのはこんな感じのグラインダーでした。
パワーとか規格?とかはちょっとよくわかりませんが、鉄を削っていたので、造船所などの大きな工場にはだいたい置いてあるのではないでしょうか。
刃は、超硬度用?みたいな感じの刃があったので、そっちの方が早いかもしれません。
あとはステンレス用とかでもいいかもしれませんね。
削り方のコツ
分かりにくいかもしれませんが、頑張って書いたので参考にしてみてください。
まずは下記画像のように、素材にマーキングをします。
私は、ハイス鋼のノコギリの刃の切れっ端をいただいたので、それでやりました。
なので、ギザギザは気にしないでください。
図のように、ノコギリとしての刃先(ギザギザ部分)は使いませんので、ココがハイス鋼のバイメタル素材ではダメなんですね・・・
マーキングが終わったら、先ほど用意したグラインダーで根気よく削っていきます。
削り終わったら、次に刃先を入れていきます。
下記画像のように、1センチを目安に、真っすぐ斜めに削ります。(刀身は幅3センチです)
この時、刃先が鋭角であればあるほど切れ味は増しますが、その分持続性が落ちます。
逆に、刃先が鈍角であれば、持続性は増しますが、切れ味は落ちます。
つまり・・・
その加減がすっごい難しいです。
難しいとは思いますが、刃先だけを削ったり、真っすぐではなく湾曲したようになると切れ味が出ませんので、ゆっくりでいいので必ず真っすぐ削ってください。
切れ味を出すには、とにかく刃先の角度に注意してください。
電線を試し切りしながら削るといいかもしれませんね。
また、手持ちのグラインダーではなく、大きい固定式のグラインダーであればもっと簡単です。
刃の研ぎ方について追記
仕上げの時に、グラインダーを縦に持って、刃先に垂直に当てるように削ると、キレイに削れます。
強く当てるのではなく、ソフトに当てて削ります。
最後の確認として、刃に対して正面から光を当ててやり、反射している所があれば、そこの部分の刃が厚いということになるので、その部分を削り、光が反射しなくなるまで削れば、かなりいい感じになると思います。
絵が下手なのでわかりにくいかもしれませんが、こんな感じでやればかなりいい具合に仕上がると思います。
ビス用の穴の開け方
刃先が完成したら、次は柄と刃をビスで固定するための、穴をあけていきます。
これが本当に苦労したので、ガスで穴をあけるか、アーク溶接の棒で穴をあけた方が無難です。
というか、結局ドリルではあけることが出来なかったので、私は溶接棒で貫いて頂きました。
ガスだと広範囲に焼きが入るので、あまり良くないらしいです。
まあそのあたりはやりやすい方法でやってみてください。
私は手持ちのドリル(インパクト)でやったのですが、滑って滑って全然ダメでした。
固定式の大きいドリルがあれば、刃をしっかり固定すればいけるかもしれません。
ただ、刃が固いため、無理やり行くと折れるかもしれません・・・
ドリルの刃も、超硬金属用の物を付けておいた方がいいでしょう。
ハイス鋼の弱点(使用上の注意)
最後に、この素材の弱点を・・・
硬度が高いため、横の力や、ねじれる力に非常に弱いです。
とはいえ、そう簡単に折れることはありませんが、横に思いきり力を入れたり、ねじるような使い方は厳禁です。
あと、先にも書きましたが、あまりの高温で焼きを入れると、強度が落ちるみたいです。
なるべく素材をそのまま使った方がいいと思います。
そして・・・・
とにかく硬いので、電動工具がないと加工が出来ません。
購入前にしっかりと工具の確認を・・・
手動工具ではまず無理です。
費用は?
工具まで入れるとめちゃくちゃお金かかるので、なるべく会社であるものを使ってください。
素材自体は、5000円もあれば買えると思います。
補足として、柄はステンレスや真鍮の平板を用意して作るみたいです。
刃を切らず、いらない部分にゴムを巻いて使っている人もいました。
それらも5000円程度あれば手に入ると思います。
という事で、どれだけかけても、1万円あれば大丈夫です。
便利なオマケ
ナイフの刃先の方を、下記画像のように削ります。
このように、栓抜き?みたいな形に削ることで、外装の中にある、ビニルの部分を簡単にむぐことが出来ます。
切れ目を入れて、そこにこの引っ掛かりの部分を入れて、ピーっと引っ張ると、キレイに切れました。
もし気になる方はやってみてください。
まとめ
電工ナイフは電気工事をするときの必需品です。
いい道具を使えば、いい仕事ができると思うし、自分で作れば愛着も沸くと思います。
時間と手間がかかりますが、お気に入りのナイフを作ってみてください。
ただし・・・
安全作業で行うように・・・
それではまたどこかで・・・